以前交通事故の治療で通われた患者さまについてのお話です。

事故から２か月半ほど経って来院されました。

それまでは、１週間に一度程度、整形外科に通っていたようですが、温めるだけの

電気治療であまりよくならず、知人からの紹介を受け、当院に来院されました。

事故の状況はといいますと、ある５月半ばの朝の通勤途中、下りのスロープ道で止まって

いる際に、後方の車からやや強く追突されました。

車もかなり損傷し、修理に時間がかかるほどでした。

事故直後は膝に痛みがあったようですが、６月ごろから次第に首から肩にかけて痛み、

７月の梅雨の時期には痛みも強く、また、同時に偏頭痛もありと、不調が続いていました。

一日の一番つらい時期は、起床時で、首と肩が強く張って重く、時間が経つと治まる、

というものでした。患者さまの身体を診てみますと、頭から首・肩・背中・腰周りまで、

強く張っており、特に頭から背中上部辺りまで、締め付けられているように緊張した

状態でした。

しばらくは、首のみの治療と指定されていたので、首周りしか治療できません

でした。しかし、首のみの治療をしてもあまりよい結果につながらなかったので、

保険会社の担当者の方と相談させていただき、どうにか肩の治療もできるように

なりました。

肩の治療も出来るようになると、幾分治療範囲が増えるので、患者さまによい治療を

提供しやすくなります。

交通事故は首をむち打ちしたとしても、やはり全身に衝撃を受けています。

全身を診ながら、痛む場所を治療した方がよいと、私は思っています。

何回か治療をしていただきますと、首や背中の事故特有の張り感が徐々に引いていき

ました。患者さま曰く、「早くからこちらに来て治療をしてもらえばよかった！

温まるだけでぜんぜん良くならなかったです。」

１ヶ月半ほど経って、症状が少しづつ落ち着いていき、毎日のつらい痛みから、

日によって痛みに強弱が現れるようになりました。

ただやはり、天候、台風が来る前の日、雨の降る前の日、曇った日などの気圧の

低い日などは不快な症状がでるようです。

その後、定期的に通院していただき、症状が次第に軽くなっていきました。

事故の負傷の痛みは、その患者さましか分かりません。

事故直後、なるべく早めに、しっかりと治療をしておくと、その後不定愁訴で悩まなく

てもすみます。